ブラス!

音楽と映像の対比が絶妙な唯一無二のブラスバンド映画

おすすめCDのコーナーですが、今回はCDではなく映画を紹介したいと思います。
Brassed Off(邦題「ブラス!」)というタイトルの1996年(もう20年も前!)の映画です。
この映画は1990年代、イギリスの炭鉱の町「グリムリー」が舞台となっています。
時代は石炭から石油へのエネルギーシフトの最終局面を迎えていて、イギリス国内では次々に炭鉱が閉鎖されていく中、このグリムリーの炭鉱も閉鎖されようとしています。
映画では、そんな苦境にたたされている炭鉱労働者たちの「グリムリー・コリアリーバンド」のメンバーたちが描かれています。

暗いトーンの映像と底抜けに明るい音楽

上述の通り、映画の背景は閉鎖される炭鉱で、登場人物もそこで働く坑夫たちが中心です。
なので、自ずと映画の色調もグレーや暗い色が中心に描かれ、映像としてはかなり地味に描かれています。
ところがその映像に当てられているBGMは、名門ブラスバンド「グライムソープ・コリアリー・バンド」による底抜けに明るく、快活な演奏なのです。
この対比により、映像はより暗く、音楽は皮肉なほどに明るく印象付けられています。
特に筆者のお気に入りのシーンは、コンクールの予選、「フロレンティーナ・マーチ」を演奏するシーンです。
映画内の時系列上、非常にショッキングな出来事とコンクールの予選が重なっていて、明るいマーチのトリオ部分を朗々と歌っている一方で、悲劇が起きているのです。映像、ストーリー、そして音楽が絶妙に混ざり合い、ひとつの物語を盛り上げている点は、なかなか他の映画では見ることは少ないかもしれません。
(もちろん、演奏者としての感情移入している前提です。)

本物の奏者たちによる演奏シーン

この映画の見所のひとつは、劇中の演奏シーンで前述の「グライムソープ・コリアリー・バンド」のメンバーが出演し演奏している点だと思います。
とりわけ、映画のクライマックスで演奏される「ウィリアム・テル」のコルネットソロは、映像と音を同時に撮ったのではないかと思えるほどリアルです。(音の外し方も非常にリアルです。)

また、メインキャラクターは当然俳優、女優さんが演じているので、楽器は吹けないのですが、面白いのはそれらメインキャラクターのパート割りです。メインキャラクターはフリューゲルホルン、テナーホーン、ユーフォニアム、トロンボーン、チューバがそれぞれ一人ずつと、指揮者です。演奏への影響が極力少なくなるようなパート割りだとは思いませんか?

音楽バカなら見て損なし

何よりもこの映画の登場人物たちの、演奏者としてのプライドや、音楽を愛する姿勢には心から共鳴できると思います。
主要キャラクターの一人が逆境の中で語った以下の一言が、端的にそれを表しています。
「炭鉱がどうなろうと、大切なのは音楽だ」
音楽や楽器の演奏を愛するひと(音楽バカともいう)には本当にオススメできる映画です。
是非一度見てみてください。

こちらはサウンドトラックです

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です